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トワイライト・ファントム7 ~影と静寂の中で~

ザントの過去を割と真剣に考えて、
鬼のように捏造した小説っぽい文章の7話目です。
詳しくは、「トワイライト・ファントム0」をご覧ください。

もしご興味があって時間に余裕があればどうぞ。

◆はじめに
・ザント一人称
・物語はミドナが幼い時代からスタート。
 ザントも若くて、いくらかまとも。
・基本ザンミド意識の展開
※オリジナルキャラが出る回なのでご注意を

◆かんたんあらすじ
ミドナはザントを追いかけてるけど
ザントはどっかに行ってしまったようです()

トワイライト・ファントム7
~影と静寂の中で~


金色に輝く黄昏の光。
消え入りそうな遠い空。
さざめく黒い草原。
たたずむ私。

耳に響くのは、あの方の声。


『ザント』


その声は風のように肌をなぜる。


『エライな…』


その声は火のように暖かい。


『…色々考えてるんだな、オマエ』


その声は澄んだ水のように


『…ずっと一人で…』


枯れゆく脳に染み渡る…


『偉いな、ザント』


ミドナ様。


遠くに立つミドナ様が私の方を見て、いたずらっぽく微笑んでいる。


あぁ、そこにいたのですねミドナ様。
少し、話をしませんか。


『偉いな、ザント』


禁術の授業は、必ずやりましょう。
私の知る最後の禁術です。
ミドナ様ならきっと、正しく使えます。


『偉いな、ザント』


今そちらに行きます。
少しお時間をいただけますか。
話を…


私はミドナ様の方へ一歩踏み出そうとしたが、どういうわけか、足は根を張ったかのように動かなかった。
おかしい、足の動かし方がわからない。

混乱した私を追い込むように、足を着いていた草原は泥のように溶け始め、私の身体はゆっくりと沈んでいく。
抗おうとすればするほど、埋もれていく。

ミドナ様の名を叫ぼうとした瞬間、突然視界が暗くなった。
目の前に現れたのは黒く半透明な影。
影はじりじりと迫ってくる。
私は動けなかった。

(いや、動いてはいけないのだ)

影が長い腕を伸ばしてくる。
その腕は私の首に絡みつくと、そのまま強く絞め上げた…。

呼吸ができない。
息苦しさに喘ぐ。

いつの間にか腕の感覚もなくなっていた。
動かし方を忘れた四肢では抵抗することもできない。


ミドナ様…っ


かすれた声を絞り出し、私は賢明にミドナ様の名を呼んだ。
助けてほしかった。

しかしミドナ様は、目を針のように細め、口を固く結び、私を睨みつけている…


ミドナ様!








『もういい』


「!!!」


目を覚ました私は、冷たい床に身を委ねていた。


……夢か。
くそ。
不愉快な。

……?

床?
何故床で眠っている?


「ここは…?」


私はよろよろと体を起こした。

周囲は淀んだ暗闇が広がっているだけで、何も見えず何もわからない。


どこだここは。
室内だとは思うが。
照明はないのか…。


…うぅ…

体が痛い…

頭も痛い…

ここはどこだ…

わけがわからない…

何があった?

何が起きた?

状況が把握できない。

一体…。


…とりあえず、現状に至るまでの記憶を辿るべきだ。


思い返せ。
何があったのか。





ーー自室にいたのだ。
そう、自室で私はただ何もせずにいた。
本を読む気も、魔術を研究する気も起こらないのだ。

ミドナ様と別れたあの日以来、私は無気力になっていた。
何もしたくない。
何も考えたくない。

枯渇した脳。
空虚を見る目。
声の忘失。

考えるのを止めた生物は、生物といえるだろうか。
いえまい。
心臓が動いているだけのただの物体に等しい。
ろくでもなく、愚かしい…。

私は自虐の言葉を並べながらも、それ以外のことを考えようとはしなかった。

何もかも、意味を感じない。


『もういい』


ミドナ様が最後に言った、あの言葉が頭から離れない。
耳に響き、心を蝕む。

…今日は午後に、魔術の授業がある。
あの日以来ミドナ様に会っていない。

魔術の授業では、
…当然だがミドナ様に会うことになる…。


私がついたため息も朝から数えて100を越えたであろう頃、誰かが扉を叩く音がした。


「おーい!ザントー!いるかい?」

「…」


男が大声で私の名を呼んでいる。
必要以上の強さで殴られる扉の悲鳴は、私の頭にガンガンとよく響いた。

うるさいな…

正直居留守を使いたい。
今は誰とも会いたくない。

「…ん?いないのかなぁ」

「…」

早く帰れ…。
早く立ち去れ…。

「宮殿前広場に来いって大臣様が呼んでるよー」

「!…」


…はあ。


大臣が呼んでいるとあらば、無視するわけにはいかない。
私はもう一つため息をつき、重い足取りで扉を開いた。

「おっと!いたんだなザント!返事してくれりゃいいのに!」

「…ナハトか」

部屋の前にいたのは家臣の一人、ナハト。
ナハトは大柄で筋骨逞しい体つきをした男で、体力なら誰にも負けない自信があるといういくらか珍しいタイプだ。

「ザント、大臣様が呼んでたよ。宮殿前広場に来いってさ」

「それは先ほど聞いた。どの大臣だ?」

私がそう聞くと、ナハトは何とも気まずそうに頭を掻いた。

「あーっと…そうだねぇ、あのー、ザントとはそんなにというか、決してというか、仲が良くない…」

「あぁ…」

ナハトの言うとおり、私には決していい関係とはいえない大臣が数人いる。
魔術を研究している私を『遊んでいるだけだ』と批判し、何かにつけて粗を探そうとしてくる。
好かれようと思っているわけではないが、あまりいい気持ちではない。

「何の用だ…?」

「大臣様に呼んでこいって言われて」

「お前じゃなくて大臣の方だ」

「あーはいはい!いやー知らんよ、おれは通りがかりに呼んでこいって言われただけだからねぇ」

「そうか」

私は部屋を出た。
そっとしておいてほしい時に呼び出すなど、本当に他人というやつは自分の都合しか考えていない…。

「ま、気楽にいけよ!」

「…あぁ」

「何かあったらナハトの児童相談所にきなさい」

「…私は児童ではないが」

「はっはっは!わかってるよ!話くらいならいつでも聞くからさ、ほら行ってらっしゃいよ」

…ナハト。
やかましくて馴れ馴れしいヤツだが、不思議と嫌いではない。


豪快に笑うナハトと別れ、私は大臣の待つ広場へ向かった。

憂鬱な気分で廊下を渡り、永遠に続いていればいいのにと思いながら階段を下り、永遠に横断できなければいいのにと考えながら大広間を抜ける。
そのまま外へ出ると、永遠にたどり着かなければいいのにと祈っていた宮殿前広場に着いてしまった。
広場の中央には、大臣が一人立っていた。

「…お待たせいたしましたツァイト大臣」

「…」

私を待っていたのはツァイト大臣だ。
ナハトの言っていたとおり、私とは決していい関係ではない人物。

ツァイト大臣は実に迷惑を被ったと言わんばかりの、露骨に不愉快そうな表情で私に振り返った。

「遅いぞザント。君の歩幅ならあと48秒早く来れるはずなのだが?」

「…申し訳ございません」

ふんと鼻息をもらすと、ツァイト大臣は袖から封筒を取り出した。

「北の神殿の神官から緊急の手紙だ。30秒で読みたまえ」

私は封筒から手紙を取り出し、内容に目を落とす。
季節の挨拶から始まる、緊急の割には堅苦しく形式ばった文面。
本題を要約するとつまりはこうだ。

『…結界に怪しげな魔力による攻撃あり…損傷は多大なり…早急に査閲されたし…』

「…北の神殿の結界が…?」

「そうだ。君に見に行ってもらいたい」

「私がですか?」

予想外の話に私は思わず顔をあげる。

「君がだ。君の魔術の知識はこういった場面で活かしてもらわねばな。遊ばせていたわけではないぞ」

ツァイト大臣は口元を怪しく歪ませ、冷めた笑顔を見せた。

「すでに使いの者が迎えに来ているそうだ。今すぐ向かいたまえ」

「…今すぐですか?」

「今、すぐ、だ。時間は有限だぞ」

「…しかし…今日はミドナ様の魔術の授業が」

「代わりの者にやらせればいいだろう。少しは考えたまえ」


代わりの…者…?


ツァイト大臣は首から下げた懐中時計に目を落とし、ため息をついた。


「…このままこうしたやり取りを続けると、君との会話に確保していた時間を1分53秒オーバーする想定だ。私の時間をこれ以上奪うな。行ける行けないではない。行くか行かないかだ。どちらかね」

「…」


行くか
行かないか…


北の神殿となると、損傷にもよるが数週間は帰ってこれないのではないか。

その間、ミドナ様との授業は…?



ミドナ様…


『ザント』


魔術の授業は…


『ザント!』


禁術の授業は…


『ザント…』


ミドナ様…


『もういい』





授業は…
代わりの者にやらせれば…いい…



私は承諾した。




迎えの者は宮殿北にある枯れ草の草原で待機しているというので、私はツァイト大臣と別れたその足で草原へ向かった。

本を取りに戻りたいと申し出たが、却下された。
とにかく急かされた。
時間にうるさいツァイト大臣が急かすのはいつものことだが。


ーーどこから仕組まれたものなのか。
それとも偶然このタイミングを狙われたのかーー


枯れ草の草原まで辿り着くと、突然フードを被った二人の男に襲われ動きを封じられた。
魔術によって腕は後ろで縛られ、地に這いつくばるような格好にされる。

続いて目の前に現れたのは仮面をつけた三人の男。
顔は隠れていても、感じる魔力である程度正体は特定できた。
1人は馴染みのない魔力だったのでわからなかったが、2人は宮中の大臣の魔力で間違いない。
ツァイト大臣ではないが、どちらも私のことを疎んでいる者…
私に嫌味を言うために、弱味を掴んでやろうと躍起になっているヤツら…。


私は頭が追いつかなかった。


もちろん突然の襲撃のせいもあるが、それ以上に、ヤツらの口から『禁術』の二字が出たことは私を大きく動揺させた。

私がミドナ様に禁術を教えている、と。

ヤツらはそう言った。
確かに、そう言った。

知られた。
知られている。
ばれている。
何故
いつから
どうして
何故
何故
何故

警鐘のように心臓が波打つ。
嘔吐のような焦燥感。

私は追いつめられている…。


散々痛めつけられその場で尋問を受けるも、私の話はろくに聞いてもらえなかった。
形だけの事情聴取ーー。



--私は間違った道を歩ませようとしたわけではありませんっ!!私はただ…

『黙りたまえ!』

『禁じられた魔術をミドナ様に教えるなど』

『到底許されることではない!』

『正気の沙汰ではない』

『貴様は魔術に取り憑かれている!』

私はただ…一族を守るために…っ

『まともではない』

『禁術は争いを生むのだぞ!!』

『ミドナ様は幼い。まだ正しい判断ができないのだ』

『それにつけ込むなど言語道断っ!』

ミドナ様は誤った判断などしない…っ!
私の話をお聞きくださいっ…っ!

『罪人の言い分など聞かん』

『貴様は"黒の塔"行きだ』

!!

お、お待ちくださいっ!
一族の危機です、私をそんな所へやっては…!!

『誰とも会わず』

『誰にも触れず』

『全ての感覚を凍結し』

『己の罪と過ちを』

『孤独に背負い、悔いるといい』


……


そして私は魔術で無理矢理眠らされ…気づけばこの場所に倒れていた。


あぁ、そうか。
ここは、黒の塔。

罪人をおさめる、死の棺。


ていうね(白目)
今回から中編突入でございます。
ミドナが全然出ていないっ!
ザンミド目当てで来てくれた方は物足りないやもしれませんが、
こんな感じのがしばらく続きますすみませんすみません

この中編とやらはなかなかやっかいでして、
1回全部書き上げたものの変だったので
全部組み直していくらかマシな流れになったけど
やっぱりとっつきにくい展開をしていたので
また書き直してようやくまぁまぁ出せる程度に
できたくらいの長い付き合いでして…。もう…

何が言いたいかというと書いてる本人が難しがっているパートなので
読まれている方はもっと難しいかもしれないのですが、
何とか頑張りますのでよろしくお願いします()


◆勝手に出した用語や設定の解説
・ナハトその2
オリジナルキャラです。申し訳ない。
影の宮殿に仕える家臣の一人です。
ガタイのいいいわゆる体育会系で、
魔術に特化した影の一族では珍しいタイプ。
誰とでも仲良くしようとするおおらかな性格。
他人に干渉されるのが苦手なザントもナハトに関しては
いくらか心を許している様子(やめろと言ってもきかないので諦めてる)。
影の一族はサンプルが少なすぎて容姿の想像がしにくいと思うのですが、
ナハトはザントと影の住民とバド(スカウォの)を3:4:3の割合で
足して割った感じに思ってもらえればいいかと思います(余計わからん)

・北の神殿
北にある神殿。
ゼルダ無双では宮殿の近くに大妖精様がいる
神殿が建っていたので、神殿という概念はある世界のハズ。
結構遠いみたいです。
影の世界ってどれくらい広い世界なんでしょうね。

・枯れ草の草原
その名の通り、枯れたイグサで構成された淋しい草原です。
ゼルダ無双では宮殿の隅の方にちまちまと草が生えていたので、
草木はあるものだと考えています。
しかし影の世界は、光の世界のような美しい大自然というより、どこかひっそりとしていて物悲しい景色が広がっているんじゃないかなぁなどと供述しており

・ツァイト大臣
オリジナルキャラですすみません。
影の宮殿に使える大臣の一人です。
時間にうるさく、秒単位でスケジュールを組んでいる
よく言えば几帳面、悪く言えば融通のきかないひと。
ザントのことが気に入らない大臣は複数いるそうで、
ツァイト大臣はその一人。
ザントの歩幅を把握して嫌味を言う準備をしているので
いい性格とはいえないかと思われます。
容姿はザントと影の住民と赤シャチじいさん(風タクの)を3:4:3の割合で足して割ってもらえれば近いんじゃないかと思われます。????
名前の由来はドイツ語で『時間』の意味。捻れ


〜オリジナルキャラのおはなし〜
ニコル(ミドナの侍女、ザントを好き)
ネイド(ザントのライバルっぽいやつ)
ナハト(ザントとなかよし)
ツァイト(ザントの嫌な上司)

名前つきのオリジナルキャラもこれで4人となってしまいました。
多分、もうこれ以上主要となるオリジナルキャラは出てきません。
オリキャラは極力、必要以上に増やさないようにしています。
そうは見えないと思うのですが本当です。

オリキャラというのは、あくまで物語を
スムーズに進める為に作った仮の人物です。
さすがにザントとミドナだけでザントの過去をねつ造できるほど
器用ではなかったのです。。

名前がついているとその分、使い勝手がよくなるので
物語に深く関わらせることができます…
が、ツァイト大臣に関しては完全にあれです。
あの、本当は名前をつける予定もなかったのに
妙にキャラがしっかりできてしまい、
何というか予定と違ってしまった人物です。困ってます()


〜影の世界の世界観のおはなし〜
影の世界には何があって何がないのかというのは
もう想像するしかないのですが、ツイッターでとある方が
「影の世界には太陽や月はなく、
ひたすら黄昏の淡い影であり続ける空間で、
ただミドナは穏やかな場所と言っていたので
影の世界というのは『変化』がない世界なのではないか」
という考察をしており、個人的にとても納得しております。
私もそれを基準に色々考えることにしています。
そういうわけで昼夜や天気の描写を極力控えていますが、
物や現象に関しては「光の世界とほぼ同じ」としております。


同じとしておりますのでみなさんもザンミド書いてくださいほんとにお願いいたします(懇願)


トワイライト・ファントム0
トワイライト・ファントム1 〜黄昏の小さな姫君〜
トワイライト・ファントム2 〜隠者の庭〜
トワイライト・ファントム3 〜聖者〜
トワイライト・ファントム4 〜潜思〜
トワイライト・ファントム5 〜黄昏の哀歌〜
トワイライト・ファントム6 〜忠誠と反故〜
トワイライト・ファントム6.5 〜後ろ影〜

トワイライト・ファントム7 〜影と静寂の中で〜※ここです
トワイライト・ファントム8 〜塔と腕輪〜
トワイライト・ファントム9 〜禁戒の呪術〜
トワイライト・ファントム10 〜光〜
トワイライト・ファントム11 〜黒の賢者〜
トワイライト・ファントム12 〜残された者たち〜
トワイライト・ファントム12.5

トワイライト・ファントム13 〜再会〜


◆タグ一覧
/トワイライト・ファントム

拍手

3 Comment

無題

うぉぉぉ!!とうとう7が出ましたか!!
私はゼルダ無双も結構進みました♪
アゲハを除くトワプリキャラはLyが50越えとか…、金素材がめっちゃ集まったりしました。
続き、期待してます!!
Re:無題
  • おゆ
  • (2015/06/07 21:56)
お返事が遅れてしまい申し訳ありません;
無双は知らないうちにレベルが上がるのでいいですよね^^
金素材なかなか集まらないので羨ましいですw

無題

素晴らしい小説ですね!!続きがとても楽しみです!!
私もゼルダ無双をやっているのですが子供リンクがLv255でザントとミドナとミドナ(真の姿)が180ぐらいですw
Re:無題
  • おゆ
  • (2015/06/07 22:00)
ブラーケンさんコメントありがとうございます^w^
オホァア気に入っていただけて何よりです…!!><
ペース遅めかもですががんばります。
セルダ無双めちゃくちゃやりこんでますね!!
強すぎてプレイが気持ち良さそうです(´w`)いいなぁ

無題

ブラーケンs
ヤバくないですか…!?
私、影の王のステージをミドナでずっとクリアしてるので、ザントの仮面が20個くらいあるんですよね。
どうしよう…アゲハの金のバッチは全て作ったし…。

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