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トワイライト・ファントム2 ~隠者の庭~

ザントの過去を割と真剣に考えて、
鬼のように捏造した小説っぽい文章の2話目です。
詳しくは、「トワイライト・ファントム0」をご覧ください。

もしご興味があって時間に余裕があればどうぞ。
※なんとなく挿絵を追加しました
※三行あらすじを追加しました

◆はじめに
・ザント一人称
・物語はミドナが幼い時代からスタート。
 ザントも若くて、いくらかまとも。
・基本ザンミド意識の展開

◆三行あらすじ
ミドナ失踪!
ザント、ミドナを発見!
ミドナ帰らず!ザントも帰らず!

トワイライト・ファントム2
~隠者の庭~ 
 

「ミドナ様、おはようございます」

「お、ザント。よきにはからいやがれ」

「…そんな言葉遣いがありますか」


先日の親子喧嘩はどうにか収束したらしい。
ミドナ様はたいそう、ご機嫌麗しいようだ。


——あの後、広場に留まった私はミドナ様の説得に入った。
早く王と和解してもらわないと困る。
ミドナ様も頑固なので、いくら言っても聞き入れてくれなかった。
幼いゆえもあるだろうが、とにかく一歩も譲らないのだ。

頭を悩ませた私にミドナ様は『ある条件』を提示した。
私がそれをのむのであれば、宮殿に戻り、王と和解するというのだ。
結果から言うと、私はその条件をのんだ。

こうして失踪から実に6時間、ミドナ様はようやく広場を出たのである。
私はミドナ様と一番仲のよい(と思われる)侍女に連絡し、迎えに来させた。
ミドナ様を見つけるのは私の仕事だが、連れて帰るのは私でなくてもいい。
あの侍女の方が上手く場を運ぶだろう。

思惑通り、何とかなったらしい。
王と姫は無事に和解。
大臣達はよかったなぁと呑気に喜び、使用人達は歓喜に沸き立ち、私は徹夜で仕事を片づける羽目に合い、ろくに眠れないまま今日を迎えた。
ハッピーエンドなどという冗談で済まされるだろうか。
あぁ、眠たい…



「さ、約束だからなザント。とっとと始めよう」

「…ええ」

例の条件。

それを果たすため、私はミドナ様と立ち会っている。
待ち合わせをしたのは宮殿の外にある小さな広場。
昨日と同じ場所だ。
私は脇に抱えた数冊の書物を、冷たい石の床に置いた。

普段は影の魔術の授業をする時間なので、私とミドナ様が共にいることに何ら不自然はない。

不自然はないのだが…
『これからここで行うこと』を決して見られるわけにはいかない。

近辺に人の気配はないものの、用心にこしたことはない。
広場の門を閉じた上で更に結界を張り、外からは完全に広場の様子が見られないようにした。
念には念を入れ、防音の魔術や反射の魔術、"魔術破り"防止の魔術、幻影の魔術、防衛の魔術、鍵の魔術をかける。

「もういいだろ?」

「いえもう少し」

「心配しすぎだろ!初めてじゃないんだし、これまで平気だったんだからさ」

「念を入れていたから大丈夫だったんです。絶対に絶対に絶っっっ対に見られるわけにはいかないのは、何度もお聞かせしましたよね?わかってますよね?ご存知でしょう?」

「わかってるよ!わかってる!ほんとうるさいなオマエ」

ミドナ様は頭を掻きながらぼやいた。

まったく。
ミドナ様は事態を軽く見すぎだ。
今から私とミドナ様が行うのは『禁じられた行為』。
しつこいようだが、本当に見られたり聞かれたりしてはいけないのだ。

確かに今回が初めてではない。
だが油断は禁物。

もう一度"魔術破り"防止の魔術を使い、私はミドナ様と向き合った。


「準備完了です。ミドナ様、よろしいですね」

「待ちくたびれたぞ!早く始めよう!」


完全に二人きり。
静寂に包まれた広場の中心で、私はミドナ様の目線の高さに手のひらを差し出した。
ミドナ様は好奇心に溢れた無邪気な瞳で私を見ている。

『禁じられた行い』。

決して見られてはならない。
聞かれてはならない。

「ミドナ様」

私は手に力をこめた。





「今日はこれを作ります」

「…なんだそれ…?ボール?」

「そうですね、ボールのようなものです。しかし見た目に反して、非常に危険です。影の力を凝縮して留めているのです」

私の手のひらの上に、黒い球体が浮かんでいる。
大きさはソルより一回り小さいくらいで、迷路のように入り組んだ影の紋様が外面を覆っている。

私はこれを、影のオーブと呼んでいる。

ミドナ様は影のオーブをじっと観察し、別の角度から回り込んだり下から覗き込んだりしている。

「これ、強いのか?」

ミドナ様は訝しげな表情でこちらを見上げている。

私は何も言わず、持っている影のオーブを遠くへ投げ飛ばした。
地面に落ちた瞬間、オーブは激しい爆発音と共に炸裂し(ミドナ様は驚いて耳を塞いだ)、周囲の塵を巻き込んで消滅した。

「強いですよ」

私の一言を聞いてミドナ様はしばらく呆然としていたものの、次第に目を輝かせ、興奮気味の様子で早く教えろとせがんできた。



私とミドナ様の秘密。
それは『禁術』を教え、教えられていること。
ザントとミドナ
私はミドナ様の教育係として、影の魔術や知識などをなるべく多く教えるよう命じられている。
同時に、一般的に良しとされない魔術——禁術は、決して教えるなとも言われている。

影のオーブは禁術…。

私は与えられた命に背き、ミドナ様に禁術を教えていたのだ。
それも今日が初めてではない。
月に一度の頻度で禁術を教えており、ミドナ様もこの時間を非常に気に入っている。

別に間違った道を歩ませようとしているわけではない。

むしろミドナ様なら間違ったことに使わないと判断したから、こうして教えているのだ。
あれだけ悪戯ばかりしているミドナ様も、影の魔術を使って人に危害を加えたことはない(悪戯をすること自体は問題ではあるが)。

今回の条件というのも、月に一度の禁術を今月だけ二度教えてくれというものだった。

ただでさえリスクの高いことをしているのに、それを二度も行うなどと最初は承諾しかねた。
しかしミドナ様はその条件以外、全く妥協の余地がなかったようで、私の出した多くの改定案はどれも認められることはなかった。
そんな無駄なやり取りも随分長引き、さっさとこの親子喧嘩に終止符を打ってもらって自分の仕事を片付けたいという苛立ちから、つい条件をのんでしまったのだ。

「見てたかザント!今のだろ!?できた!」

「!」

昼の刻になった頃、ミドナ様は初めて影のオーブの維持に成功した。
確かに黒い球体が、小さな手のひらの上に浮かんでいた。
たったの2秒だけだったが、ミドナ様はとても嬉しそうだ。

こんなに早く成功させる(2秒だけだが)とは思わなかった。
やはりミドナ様の潜在能力は計り知れない…。

私は読んでいた本を閉じて、頷く。

「見ておりました、素晴らしい上達です」

「なんだ、あんなに難しい難しい言ってたけどコツさえ掴めば大したことないじゃないか」

そのコツを掴むのが早すぎるのだ。
他の者ならそれこそひと月かかるだろう。
私ですら一週間かかったというのに、この方は…

「はい。後はとにかく影の力が溢れないよう、留めるイメージを繰り返せばもっと長く維持できるでしょう」

「ん、わかった。留めるイメージね…」

その後、ものの1時間でミドナ様は10秒間の維持に成功し、今日はお開きとなった。


…もちろん、授業が終わった後も用心せねば。

私達がこの広場から出て行くという、その様子も見られてはならない。
私は外の気配を探り、遠くから視線が向けられていないか確認し、一つずつ術を解いていった。

一つずつ…

一つずつ…


…これでよし。

最後の術を解き終えると、ミドナ様は非常に苛立った様子で広場を飛び出した。

「慎重すぎるよオマエは!いくらなんでも20分かけることないだろ!」

「油断大敵ですので」

「そればっかりだなーオマエは!ちまちまやってるような男は女にモテないぞ」

モ、モテ…

「余計なお世話です…」

「くくく、何?気にしてたのか?」

「そんなことを気にしたことはありませんっ」

ミドナ様はよく響く声でけらけらと笑っている。
まったく…
私は呆れてため息をつく。

「あーあ、何か疲れたなー」

「今日はかなり魔力を使われましたので、少しお休みになられた方がいいかもしれませんね」

「休みたいのはやまやまだけど、午後は午後で歴史の授業だよ!始まるのおやつ時だしなぁ、さすがに今日はサボっていいだろ?」

「いいわけないでしょう」

「ちぇっ、授業中居眠りしてもオマエのせいだからな、オマエが代わりに怒られろ」

「またわけのわからないことを言って!」

「オマエだって今日立ちながら寝てたクセに」

「えっ!?」

「いやー、ワタシもこんなこと言いたくないんだけどさー、大臣が授業の様子聞いてくるからなー、いやー残念だねぇザント殿~クビかな~?」

「ちょちょちょちょ待ってください、あれは寝てたわけではなくて」

「くくく、冗談だよ冗談!」

「…」

笑い事じゃない…

ミドナ様は清々しいほどの笑顔で隣を歩いている。
宮殿への帰路は、"あえて"いい言い方をすれば、非常に賑やかだった。



ていうね(白目)
引き続き、ザントとミドナが
会話してるところが書ければ嬉しいのであった。
ミドナの前だとザントはちょっと素が出るとかだといいなぁなんて。
無駄会話だけど掛け合いは書いてて楽しいです。
情景描写が苦手なので本当はセリフだけ書きたい()

◆勝手に出した用語について
・影のオーブ
これはアレです。ゼルダ無双のミドナとザントの必殺技です。
でっかい球体をぶつけるという、何故か共通した技ですね。
ザントがミドナに教えた技という体にしました。
正式な技名が見当たらなかったので、勝手につけちゃいました。
この時はまだあんなに大きいサイズじゃなかったようです。

・影の紋様
影の世界の独特な紋様。基本緑色。
ポータルを始め、建造物からミドナの体まで、
ありとあらゆる所に刻まれてるアレです。

・禁術
影の世界で一般的に良しとされない魔術。
人に危害を加えるものが禁術にあたります。
なので無双の二人の技は全部そうだと思ってください()


何と言っても(?)影のオーブです。
『必殺技がお揃いなのは、ザントがミドナに教えたから。』
私はこれをきっかけに、
ザントの過去を割と真剣に鬼のように捏造するに至りました。

これはTwitterのとあるフォロワーさんがおっしゃった
悶絶するような天才的な発想を
めちゃくちゃ参考にさせてもらいました。
この場で言うのはおかしいのですが、本当にありがとうございます。

ちなみに影のオーブのぶつけ方に関して、
ザントとミドナにちょっとした違いがあるのですが、これについても
そのうち書きたいなと思います。
書きたいなというか無理矢理辻褄合わせたいなと思います()

とりあえずみんなもザントとかザンミドとか描こうね(必死)

トワイライト・ファントム0
トワイライト・ファントム1 〜黄昏の小さな姫君〜
トワイライト・ファントム2 〜隠者の庭〜※ここです
トワイライト・ファントム3 〜聖人〜
トワイライト・ファントム4 〜潜思〜
トワイライト・ファントム5 〜黄昏の哀歌〜
トワイライト・ファントム6 〜忠誠と反故〜
トワイライト・ファントム6.5 〜後ろ影〜

トワイライト・ファントム7 〜影と静寂の中で〜
トワイライト・ファントム8 〜塔と腕輪〜
トワイライト・ファントム9 〜禁戒の呪術〜
トワイライト・ファントム10 〜光〜
トワイライト・ファントム11 〜黒の賢者〜
トワイライト・ファントム12 〜残された者たち〜
トワイライト・ファントム12.5
トワイライト・ファントム13 〜再会〜


◆タグ一覧
/トワイライト・ファントム

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