そんな無駄なやり取りも随分長引き、さっさとこの親子喧嘩に終止符を打ってもらって自分の仕事を片付けたいという苛立ちから、つい条件をのんでしまったのだ。
「見てたかザント!今のだろ!?できた!」
「!」
昼の刻になった頃、ミドナ様は初めて影のオーブの維持に成功した。
確かに黒い球体が、小さな手のひらの上に浮かんでいた。
たったの2秒だけだったが、ミドナ様はとても嬉しそうだ。
こんなに早く成功させる(2秒だけだが)とは思わなかった。
やはりミドナ様の潜在能力は計り知れない…。
私は読んでいた本を閉じて、頷く。
「見ておりました、素晴らしい上達です」
「なんだ、あんなに難しい難しい言ってたけどコツさえ掴めば大したことないじゃないか」
そのコツを掴むのが早すぎるのだ。
他の者ならそれこそひと月かかるだろう。
私ですら一週間かかったというのに、この方は…
「はい。後はとにかく影の力が溢れないよう、留めるイメージを繰り返せばもっと長く維持できるでしょう」
「ん、わかった。留めるイメージね…」
その後、ものの1時間でミドナ様は10秒間の維持に成功し、今日はお開きとなった。
…もちろん、授業が終わった後も用心せねば。
私達がこの広場から出て行くという、その様子も見られてはならない。
私は外の気配を探り、遠くから視線が向けられていないか確認し、一つずつ術を解いていった。
一つずつ…
一つずつ…
…これでよし。
最後の術を解き終えると、ミドナ様は非常に苛立った様子で広場を飛び出した。
「慎重すぎるよオマエは!いくらなんでも20分かけることないだろ!」
「油断大敵ですので」
「そればっかりだなーオマエは!ちまちまやってるような男は女にモテないぞ」
モ、モテ…
「余計なお世話です…」
「くくく、何?気にしてたのか?」
「そんなことを気にしたことはありませんっ」
ミドナ様はよく響く声でけらけらと笑っている。
まったく…
私は呆れてため息をつく。
「あーあ、何か疲れたなー」
「今日はかなり魔力を使われましたので、少しお休みになられた方がいいかもしれませんね」
「休みたいのはやまやまだけど、午後は午後で歴史の授業だよ!始まるのおやつ時だしなぁ、さすがに今日はサボっていいだろ?」
「いいわけないでしょう」
「ちぇっ、授業中居眠りしてもオマエのせいだからな、オマエが代わりに怒られろ」
「またわけのわからないことを言って!」
「オマエだって今日立ちながら寝てたクセに」
「えっ!?」
「いやー、ワタシもこんなこと言いたくないんだけどさー、大臣が授業の様子聞いてくるからなー、いやー残念だねぇザント殿~クビかな~?」
「ちょちょちょちょ待ってください、あれは寝てたわけではなくて」
「くくく、冗談だよ冗談!」
「…」
笑い事じゃない…
ミドナ様は清々しいほどの笑顔で隣を歩いている。
宮殿への帰路は、"あえて"いい言い方をすれば、非常に賑やかだった。
ていうね(白目)
引き続き、ザントとミドナが
会話してるところが書ければ嬉しいのであった。
ミドナの前だとザントはちょっと素が出るとかだといいなぁなんて。
無駄会話だけど掛け合いは書いてて楽しいです。
情景描写が苦手なので本当はセリフだけ書きたい()
◆勝手に出した用語について・影のオーブこれはアレです。ゼルダ無双のミドナとザントの必殺技です。
でっかい球体をぶつけるという、何故か共通した技ですね。
ザントがミドナに教えた技という体にしました。
正式な技名が見当たらなかったので、勝手につけちゃいました。
この時はまだあんなに大きいサイズじゃなかったようです。
・影の紋様影の世界の独特な紋様。基本緑色。
ポータルを始め、建造物からミドナの体まで、
ありとあらゆる所に刻まれてるアレです。
・禁術影の世界で一般的に良しとされない魔術。
人に危害を加えるものが禁術にあたります。
なので無双の二人の技は全部そうだと思ってください()
何と言っても(?)影のオーブです。
『必殺技がお揃いなのは、ザントがミドナに教えたから。』
私はこれをきっかけに、
ザントの過去を割と真剣に鬼のように捏造するに至りました。
これはTwitterのとあるフォロワーさんがおっしゃった
悶絶するような天才的な発想を
めちゃくちゃ参考にさせてもらいました。
この場で言うのはおかしいのですが、本当にありがとうございます。
ちなみに影のオーブのぶつけ方に関して、
ザントとミドナにちょっとした違いがあるのですが、これについても
そのうち書きたいなと思います。
書きたいなというか無理矢理辻褄合わせたいなと思います()
とりあえずみんなもザントとかザンミドとか描こうね(必死)
トワイライト・ファントム0トワイライト・ファントム1 〜黄昏の小さな姫君〜トワイライト・ファントム2 〜隠者の庭〜※ここです
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