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トワイライト・ファントム8 ~塔と腕輪~

ザントの過去を割と真剣に考えて、
鬼のように捏造した小説っぽい文章の8話目です。
詳しくは、「トワイライト・ファントム0」をご覧ください。

もしご興味があって時間に余裕があればどうぞ。

◆はじめに
・ザント一人称
・物語はミドナが幼い時代からスタート。
 ザントも若くて、いくらかまとも。
・基本ザンミド意識の展開


◆かんたんあらすじ
ザントがミドナとの気まずい雰囲気に
しょんぼりしてたら捕まった()

トワイライト・ファントム8
~塔と腕輪~


把握した。
今、自分の置かれている状況は、想像以上にまずい。




影の宮殿から遠く離れた暗がりの森、その中心にそびえ立つ、 壁も床も天井も柱も調度品も、全てが漆黒に染められた呪いの孤塔。

それが黒の塔だ。

黒の塔は、かつて影の世界で起きていた戦いの時代で、罪人を幽閉する為に使われていた呪われた遺産…。

外界から隔たれ、ひたすら独りの時を過ごす場所。

そして私が、ミドナ様に禁術を教えた罪によって囚われている場所…。



真暗な塔内には灯りが存在しなかった。

ただし室内に刻まれた影の紋様のか細い線のような頼りない光と、唯一の窓から差し込む黄昏の淡い小さな光を灯りと呼ぶのであれば、それが該当する。

実際これらに室内を照らす力はない。
かえって暗闇を助長させるようなもの、その程度。

慣れてきたせいか、手元くらいは微かに視認できる。
しかしそれ以上視界が広がることはなかった。

目を閉じていても開いていても、見える光景に変化はない。

吸い込まれそうな…

ひたすら深い暗闇…。

手を伸ばせば飲み込まれてしまいそうな空間…。


気分が悪い。


あぁ、いつだったか…魔術書を読み漁っていたとき、文字も図も何もない、真っ黒なページを見つけたことがあった。
よく見てみると元々何か書いてあったようで、それを上から塗り潰しているのだ。
そこに書かれていた何かを、秘匿する必要があったかのように。
言いようのない寒気を感じたことをよく覚えている。
今の感情はそれに似ている。

見てはいけないものを見たような。
居てはいけないところに居るような。


…聞くところによると、これまで黒の塔を脱した者はいないらしい。
いや正確には、そうなる前に命を落とすというのだ。

塔で長い時を過ごした者は次第にまともな精神ではいられなくなり、ありもしない闇に怯え、狂い、自ら死を選ぶという。

何とくだらぬことか。

それが真実かどうかはわからない。
しかし、私が今そのような場所にいるのは事実。


吐き気がする。

頭が痛い。
体のあちこちがうずく。


この塔がまだ使われていたとは知らなかった。
いや…そんな話は聞いたことがない。

おかしい。
おかしいのだ。

私がこのような忌まわしい塔にいるなど…

信じられない…


くそ…!


行き場のない怒りや困惑。
私は思わず拳を床に叩きつけた。
それと同時に、コンと石のぶつかるような音が暗闇に響いた。

…?

何故床を殴ってこのような音がするのか。
石同士の独特な、硬く冷たい音。

音の原因を探るため、私は窓から差し込む弱々しい光に右手をかざした。



腕輪。

どうやら私の手首には、腕輪がはめられているようだった。
気が付かなかった。
音の正体は、これが衝突したもので間違いない。

微かな光に浮かび上がる、細長い、円筒形の黒い腕輪…。

これは…。

当然だが私の所有物ではない。
私が眠っている間、ヤツらにつけられたのだろう。

だが決して手枷ではない。
ましてや私の体には足枷も拘束惧もついていない、動く分には不自由はなかった。

しかし……枷の方がどれだけマシだっただろうか。


「あぁ…そんな…」


思わず声が漏れる。

私は知っていた。
この腕輪がどれだけ恐ろしい物なのかを。


ーー腕輪の名はシャドウリング。
影の一族に伝わる古い呪具。

つけた者の魔力を際限なく吸収する、呪いの道具…。

それが今、私の腕にある…っ


「ああぁぁ…」


魔術を使おうとすれば、その魔力はすぐに吸収される。
魔術を使わなくとも、所有者の魔力は少しずつ吸収される。

これをはめている限り、私の魔力は奪われていく…!!


「あぁぁあぁあああっ!!」


魔力が…!!
私の魔力が…!

嫌だ…!!!


「うああ"あ"あ"ぁぁぁ"ぁ!!」


私は拳を振りかざし、そのまま床に打ちつけた。
再び腕輪と床が衝突し、硬い悲鳴が反響する。
反動で自分の腕が痛むばかりで、何の意味もない。

それでも私は焦燥から、腕輪を何かにぶつけるしかなかった。


「ア"ァア"アァ"ァッッ!!」


何度も、何度も、何度も。

腕輪がやかましく音を立てる。


私の魔力が、奪われていくなど…!
そんな…!そんな…!!

ばかな…!!ばかなぁぁっ…!!!

こんな腕輪に…!!
私の優れた魔力を…!…!

私の魔力…!
誰よりも優れた魔力…!!
奪われるなど…奪われるなど…!!



「……はぁ…はぁ…」


痛い…

自分でも情けないと思うほどに、無力…

私は…何をしている…
こんなところで…

何故私がこんな目に合わなければならないのだ…

何故こんな所で魔力を奪われなければならないのだ…!

誰よりも一族の未来を考え、憂いた私が…!!


不条理にもほどがある…!!
筋違い…!!
理不尽…!!


一族の危機を救う…誰よりも高い魔力を持つ私が…!!
ヤツらのような愚か者共より優れた魔力を持つ私が…!!

ふざけるなっ!!!!


「ガア"ァア"ア"ア"ァア"ア!!!!!」


誰が

誰が誰が誰が

私を

こんな目に合わせた


何故

何故ヤツらに、私が禁術を教えている事を知られていたのだ

誰かが密告したのか

…ネイドか?
ネイドの内通者か?
それとも?
あの時話しかけてきたあいつか?
こちらを見ていたあいつか?
ぶつかって来たあいつか?
すれ違ったあいつか?
本について聞いてきたあいつか?
会議で隣に座ったあいつか?
あの使用人か?
あの庭番か?
あの衛兵か?
あいつも怪しい
あいつも不自然だ
私を見ていた
私に話しかけた
あいつが
あいつが
あいつが
誰が

誰が

誰が…



悔しい。

悔しい悔しい!!

何故こんな目に合わなければならないのだ!

誰が私を陥れたのだ!!

どいつもこいつも。
誰も信じられない。

苦しい。辛い。
腹立たしい。気持ちが悪い。

何故…!

何故私がこんな目に…

誰が私を陥れた…

魔力は減っていく…

嫌だ…

嫌だ…。


…確かに、確かに私はミドナ様に禁術を教えた。
それはまぎれもない事実、禁じられた行為。
だがそれは、あくまで純粋に、一族を守る術を増やしてもらいたいが為だったのだ。

私の罪とは何だ?

一族を守るために禁術を教えることが、そんなに罪深いことか?

私は間違ってなどいない…
間違ってなどいない…



ミドナ様…

ミドナ様は私の話を聞いてくれた。

ミドナ様は私を理解してくれた。

ミドナ様は私を認めてくれた。

唯一。

そう、唯一。


あの言葉…

あの言葉がほしい…

私を救う、何よりも尊いあの言葉…。

あの言葉…



『偉いな、ザント』



「……」

その言葉を思い出すと、私の心は不思議な安堵感に包まれた。
脳内に何度か繰り返し響かせると、次第に動悸はおさまっていき、呼吸も穏やかになる。


落ち着く…。



あぁ…


私は立ち上がり、窓の外を眺めた。


小さな四角形の向こうで、黄昏の空は無限に広がっている。
まるで一枚の絵が飾ってあるかのようだ。

黄金に輝き続ける空は冷徹で、暖かみはない。
だが穏やかで、とても美しかった。

影の宮殿のシルエットが遠くに見える。
あれだけ巨大な建造物も、この場所からは手に収まるほどの大きさにしかならない。

私が幼い頃から住んでいた宮殿。
ミドナ様のいる宮殿。



私は宮殿の方を向き、『ミドナ様に』深く頭を垂れた。


ミドナ様…
元気…だろうか。


『偉いな、ザント』


ミドナ様…
あなたに…


『偉…な…ザ……』


あなたに…
…会い…



『もういい』



!!!

あぁ、
あぁぁ、
魔術の授業は今、誰が見ているのだろう?

代わりの者…

代わりの者…!

私以外の者が、まともに魔術を教えられるのか?

私より劣る者が、ミドナ様に魔術を教えるなど…っ!!





いや…


それを選んだのは私だ…。

ーー代わりの者にやらせればいい…ーー

私がそう選んだのだ。

どのような顔をして授業に臨めばいいのか、わからなかったのだ。

そもそもミドナ様は来てくれるだろうか…そればかりを不安に感じていた。


会うのが怖かったのだ。


だから逃げ出した。


忠誠を誓った、その相手から。


愚かなことを…





あの草原の夢の中で、
私の首を絞めた黒い影は、
私自身だったのだ。






もう、あまり考えないようにしよう…
考えたくない…
胸が苦しい…

誰かが代わりをしているのは間違い無い…
だがそれは、逃げ出した今の私にはどうにもできない事…


ミドナ様…




せめて、どうかご無事で。



私は右手首についたシャドウリングを見つめた。

忌まわしい呪具…。

黙って奪われてなるものか。
私の魔力は一族を…
いや、ミドナ様を守る為に必要なのだ。
ヤツらの思い通りにはさせない…

何か方法があるはずだ…

考えろザント…

智慧を使え…

必ず方法はある…

私ならできる…

私は優れている…

そう…私は優れている…


『偉いな、ザント』


ミドナ様…


『偉いな、ザント』


あぁ、ミドナ様…




『もういい』




嘆き、焦燥し、怒り、疑い、沈静し、また嘆く…。

感情が繁く循環する。

このまま繰り返せば感情はいつか混ざり合い、ひどく歪なものになってしまうのではないだろうか。

それは生物だろうか。
まともな生物だろうか。

私はまともでいられるだろうか…。



もう一度、私は小さな宮殿を見つめた。



…たそ…れの…君…



「…あなたが遠い…」


無意識にこぼれた言葉に、ただ一人咽び泣いた。



ていうね(白目)
あぁ~~~
会話が書きたい()
完全にザントが一人で説明して大騒ぎしている回になってしまいました。
慌ただしい割に話は進んでいないですね…

ザンミド要素もあまりないので、
それを目当てに来てくださった方には申し訳ないのですが、
こういうのがもうしばらく続いてしまいます。
ごめんよ。

◆勝手に出した用語や設定の解説
・黒の塔
影の宮殿から遠く離れた森に建つ、
その名の通り真っ黒な塔。
外観だけではなく内装もすべてが黒く、
室内は暗闇に包まれ、黄昏の光が届きません。
罪人を幽閉する塔として使われていた傍ら、
長く居ると気が狂って死ぬという曰く付きの建物です。
しばらく使われていなかったはずですが、
どういうわけか、現在ザントが囚われています。
とりあえずどうしても、
ザントを真っ暗な場所に居させたかったのでした。


・シャドウリング
ザントが右腕につけられてしまった腕輪。
つけた者の魔力を容赦なく吸い取る呪具です。

本来ゼルダ無双におけるミドナのレベル2武器ですね。
ミドナの特殊攻撃は闇属性攻撃が
できるようになるというものでしたが、その攻撃モーションが
敵を掴んで絞り取っている感じだったので、
魔力を吸い取る腕輪という設定にしてみました。

じゃあミドナの魔力はどうなるんだという点について。
シャドウリングは魔力を吸収しますが、解放もできる腕輪です。
腕輪が主と認めた者が身につけていれば、
吸い取った魔力を解放してくれるので、
結果魔術を制御しやすくなる便利な道具になります。

腕輪は忠誠心が強いため、他の人が身につけても解放をしてくれません。
ひたすら魔力を吸い取るだけとなります。

無双のはミドナに忠誠を誓ったシャドウリングなので、
まったく問題ないって感じに無理矢理考えることにします。
(そこら中にごろごろ転がってるんですけどねシャドウリング)

シャドウリングはミドナの武器デザインで一番好きです。
周囲の光の輪もカッコイイ(^○^)
ちなみにザントの武器デザインも、
レベル2の影の曲刀が一番好きです。


今回ザントが説明要員だったので
書くことがあまりないですね。

書くことがないのでみなさんザンミド書いてくださいほんとにお願いいたします(悲願)


トワイライト・ファントム0
トワイライト・ファントム1 〜黄昏の小さな姫君〜
トワイライト・ファントム2 〜隠者の庭〜
トワイライト・ファントム3 〜聖者〜
トワイライト・ファントム4 〜潜思〜
トワイライト・ファントム5 〜黄昏の哀歌〜
トワイライト・ファントム6 〜忠誠と反故〜
トワイライト・ファントム6.5 〜後ろ影〜

トワイライト・ファントム7 〜影と静寂の中で〜
トワイライト・ファントム8 〜塔と腕輪〜※ここです
トワイライト・ファントム9 〜禁戒の呪術〜
トワイライト・ファントム10 〜光〜
トワイライト・ファントム11 〜黒の賢者〜
トワイライト・ファントム12 〜残された者たち〜
トワイライト・ファントム12.5
トワイライト・ファントム13 〜再会〜


◆タグ一覧
/トワイライト・ファントム

拍手

4 Comment

無題

とうとう8が出てきましたか!
シャドウリングにそんな使い方があったのか!!とちょっと興奮気味ですが、
ァァァァとかのところのザントさんにすごく萌えました♪
でわ、9を楽しみに待ちます。
Re:無題
  • おゆ
  • (2015/11/15 01:55)
お返事たいへん遅くなってしまいすみません。。
シャドウリングはすごく影の世界のアイテムっぽいので
個人的に何としても使いたかったところがあります><
ザントに萌えてもらえて嬉しいですwお名前の通りザントが大好きなのですね(´∀`)
ザントが取り乱す感じは書いてて楽しいですが、活字での表現は難しいですね。。

無題

ザント格好いいですし可愛いと思います。私は基本悪役が好きで、そいつなりの正義?みたいなのを妄想&聞く、読む等するのが楽しいのでこういう小説書いてくれるのはとてもありがたいです。9楽しみにしてます。
Re:無題
  • おゆ
  • (2015/11/15 02:07)
お返事遅れてしまいたいへん申し訳ありません;;
コメントありがとうございます!!
悪役いいですよね、すごくわかります。
私も悪役大好きです。悪役考察とかも大好物です。
悪役の良いところは色々ありますが、
何かしらの強い信念があるところや手段が多少強引なところが魅力的です。

無題

わぁっ!
素敵な小説ですね♪
最初から読ませて貰いました。
途中の絵も可愛いです!!
特に2~3が良かったですよ!
私、絵が下手なんで。(唯一描けたのがギラリン)
9が楽しみですっ☆
Re:無題
  • おゆ
  • (2015/11/15 02:20)
お返事遅くなってしまい申し訳ありません;;
コメントありがとうございます!
全て読んでくれたのですか、結構根気いったと思いますがありがとうございます!><
挿絵最近さぼりがちですが、ちょいちょい入れていきたいです。
気に入ってもらえてよかったです〜!(*^^*)

無題

ゼルダ無双の時は随分と不可解な行動をとってくれたけど、やっぱり二人(ザントとミドナ)
が敵同士じゃないって言うのがこの小説の魅力ですね。
あとザント格好よすぎ、かつ可愛い
この小説読んで初めてザントが好きになりました。
長文、失礼しました。
Re:無題
  • おゆ
  • (2015/11/15 02:39)
コメントありがとうございます!
ミドナとザントは本編にしろ無双にしろケンカしてばっかなので、
ザントが家臣だった時どんな感じなのか色々考えるのは楽しいですね。
そして、うわああそして、ザントを好きになってくれたのですか!!!!
うわああああ嬉しいです〜〜〜!!!!!
ザントはクセのあるキャラですが、とても魅力的なので、
好きな方が増えてくれるのは本当に嬉しいです。。><///

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